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「今日は近くで祭りがある」という友人の誘いを受けて久しぶりに浴衣を着て出かけた。
 しばらくは、友人たちとウロウロしていたが、なぜか気がつくと僕は一人になっていた。
 (はめられたかな・・・・)
 と思いつつも僕は方向音痴であるため、ただ単にみんなからはぐれただけかもしれない。
 (捜したほうがいいかな?)
 とも思ったがわざとだったら嫌なので一人でぶらぶらすることにした。

 わだあめやカキ氷、りんご飴やくじ引き・・・・
 これぞお祭りって感じがする。
 僕はあちこちに目をやりながらゆっくりと歩く。
 何処へ行くというわけでもなく、僕はお祭りに雰囲気を楽しむ。

 それからどのくらい歩いたのだろうか?
 ふと僕の目にとまったのは『金魚すくい 1たも300円』という看板だった。
 僕はなんだかなつかしくなった。
 小さいころよくお父さんにおねだりして金魚とってもらてったけ。
 そしてその後お母さんに叱られたっけ。
 「そんなに金魚ばっかり飼ってどうするの?」
 って。
 そして・・・・気がつくと僕の足はそこへ向かっていた。

 「いらっしゃい。兄ちゃんどうだい?やってかないかい?」
 威勢のいいおじさんが僕に話し掛けてくる。
 ニコッと愛想笑いをして僕は何も言わずに金魚を見つめている先客の方を見た。
 その先客はたもを持ってじっと金魚を見つめている。
 「金魚欲しいの?」
 僕が訪ねるとその小さな女の子は大きく首をたてに振った。
 金魚を見つめたまま。
 視線を追って見るとそこには白っぽくて赤い模様の入った、尾びれの長い小さい金魚がいた。
 しばらく女の子はその金魚を見つめていたが意を決してたもを水の中へ入れた。

 「おじょうちゃん、残念だったね」
 女の子からやぶれたたもを受けとりながらおじさんは言った。
 水の中に入れたたもはお目当ての金魚を水面から出すことに成功したが、
 その直後金魚は再び水面へと戻り、女の子の手には破れたたもだけが残っていた。
 金魚を取り損なって今にも泣きそうな女の子の顔を見て思わず僕は
 「おじさん、たも2つ下さい」
 と言ってしまった。
 「兄ちゃん頑張れよ」
 そう言いながらおじさんは僕にたもを2つ渡した。
 僕はその1つを女の子の前に差し出す。
 驚く女の子。
 「これあげる」
 僕がそう言うと始めは戸惑っていた顔がしだいに笑顔に変わっていった。
 「お兄ちゃんありがとう」
 そう言うと女の子は僕の手からたもを受けとった。



 「おい、何処にいってたんだよ」
 「目をはなすとすぐこれだからな」
 「ほんと、昔から変わらないよ、お前は」
 友人たちは僕を囲んで口々に言った。
 「だいたい今まで何処行ってたんだ」
 友人が僕に訪ねた。
 「ちょっとね」
 僕はにっこりと微笑む。
 「まぁいいや。こうして見つかったことだし。心配かけたんだから何かおごれよ」
 「わかったよ」
 僕はしぶしぶ返事をする。
 「じゃ行こうぜ」
 友人がそう言って歩きはじめた。
 その後を僕も追う。
 右手に持った数匹の金魚と少し軽くなったサイフ、そして金魚を持って嬉しそうに微笑むあの少女の顔を思い浮かべながら・・・・。

虹色鉛筆*企画参加


**参考作品名**
Have a NICE Summer Vacation!
(サイト名)  ANGEL JUNKIE
(作者)    君影 清光

**作品名**
無題
(サイト名)  ANGEL JUNKIE
(作者)    白鷹 蒼月
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