今日この街は一年で一番忙しい日を迎えてました。
だって今日はクリスマスイブ
サンタクロースの街は世界中の子供たちへ配るプレゼントでいっぱいです。

この話はそんなサンタクロースの街から始まります。


「じゃあ行って来るからね。ちゃんといい子にしているんだよ」
赤い服に赤い帽子、そして黒い長靴をはいた老人(男の子の祖父)は目の前の男の子の頭を撫でながら言いました。
「お父さん、おじいちゃん、気をつけてね」
頭を撫でられた男の子は言いました。
「そろそろ時間ですよ」
男の子の側にいた女の人(男の子の母親)は言いました。
「もうそんな時間か・・・・」
男の人(男の子の父親)はそう呟くとソリに乗り込みました。
男の子の祖父もソリに乗り込みます。

二人がちょうどソリに乗り終えた頃
‘ゴーン、ゴーン、ゴーン’
と街中に鐘の音が響きわたりました。
「ソレ!」
鐘の音と共に街中のサンタクロースが空へ飛び出しました。
空はサンタクロースでいっぱいです。
そして空の上のサンタクロースたちはプレゼントを楽しみに待っている子供たちの所へ出かけていきました。
「いってらっしゃーい」
男の子は手を振りながら叫びました。


サンタクロースたちが出かけてどのくらい経ったでしょうか?
男の子はトナカイのトニーと一緒に窓から雪を見ていました。
そんな時、
「ホットミルクできたわよ」
と言うお母さんの声がしました。
男の子はお母さんの側に駆け寄りました。
「だめじゃない。ちゃんとカーテン閉めてこないと・・・・」
お母さんは駆け寄ってきた男の子に言いました。
男の子は慌てて駆け寄ったためカーテンを閉めるのを忘れていたのです。
男の子は再び窓の側へ駆け寄ってカーテンを閉めようとした時、庭に何か落ちているのに気が付きました。
「お母さん、お庭に何か落ちてるよ」
そう言って男の子は家の外に飛び出しました。
「あれは・・・・」
男の子は落ちているものを見てびっくりしました。
男の子は庭に落ちているものを拾い上げると急いで家の中へ戻りました。
「お母さん、大変だよ!」
そう叫ぶ男の子の手には一つの箱がありました。
「お父さんかおじいちゃんがプレゼント持っていくの忘れてるよ」
それを聞いてお母さんはびっくりしました。
「まあ、大変。何処にあったの?」
「あそこだよ」
男の子は窓からプレゼントが落ちていた場所を差しました。
「あそこなら・・・・たぶんおじいちゃんだわ。どうしましょう?」
お母さんはどうしたらいいかいろいろと考えましたがなかなかいい方法が見つかりません。
それを見た男の子はお母さんに言いました。
「お母さん、僕が届けるよ」
「えっ?」
お母さんは男の子の突然の言葉に驚きました。
「大丈夫だよ。学校でソリの乗り方とか飛び方とかちゃんと習ったし、お父さんたちと練習だってしたんだから」
「でも・・・・」
「僕もう7歳だよ。トニーもいるし・・・・」
お母さんは悩みましたが他に方法が思いつきません。
「・・・・仕方ないわね」
お母さんはそう言うと奥から赤い洋服を持ってきました。
「これを着ていきなさい」
それは男の子の洋服でした。
男の子はそれを受け取るとさっそく着替えました。


男の子は真新しいサンタクロースの衣装に身をつつむとソリに乗り込みました。
「気をつけるのよ」
お母さんは心配そうに言いました。
「うん」
男の子は元気よく答えました。
「トニー、行くよ」
男の子は自分のトナカイであるトニーに声をかけると手綱を握りました。
「ソレ!」
男の子の掛け声と同時にトニーが走り出しソリは地を離れました。
「いってきまーす」
男の子はお母さんに手を振りました。
お母さんは男の子が見えなくなるまでずっと手を振っていました。


「うわ〜、きれい」
男の子はまるで宝石箱をひっくり返したかのような街を見ながら言いました。
街はネオンでキラキラと輝いています。
「すっごくきれいだね、トニー」
男の子は嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。
自分の街の外を飛ぶのが始めての男の子にとっては全てが新鮮でした。
男の子は夢中でいろいろなものを見ていました。

どのくらい飛んだのでしょうか?
男の子はようやく目的の街へ来ていました。
道に迷ったりもしたけど何とか無事にたどり着いたようです。
男の子はさっそくプレゼントを渡す子供の家を探し始めました。
「う〜ん。この辺のはずなんだけどなぁ」
男の子は一生懸命捜しているのですがなかなか見つかりません。
だけどあきらめるわけにはいきません。
その子はどこかでこのプレゼントを楽しみに待っているのですから・・・・
そんな時でした、
男の子はプレゼントを配っているサンタクロースを見つけたのです。
「おじいちゃんだ!」
男の子はそう言うとプレゼントを配っているサンタクロースの所へ急ぎました。

「おじいちゃん忘れものだよ」
おじいちゃんは男の子を見てびっくりしました。
「これ、お庭に落ちてたの」
そう言って男の子はおじいちゃんにプレゼントを差し出しました。
「一人でここまで持ってきてくれたのかい?」
「違うよ」
男の子は首を振りました。
「トニーと二人で持ってきたんだ」
男の子は笑顔で言いました。
「二人ともプレゼントを届けてくれてありがとう」
おじいちゃんも笑顔で答えました。
そしておじいちゃんは男の子からプレゼントを受け取ろうと手を伸ばしましたが、プレゼントを受け取る代わりにこう言いました。
「せっかくだからお前が届けてあげなさい」
男の子はそれを聞いて嬉しくなっておじいちゃんに言いました。
「本当にいいの?」
「もとろん」
おじいちゃんはにっこりと笑いながら言いました。
そして2人はプレゼントを渡す子供の家へと向かいました。

2人が
プレゼントを渡す子供の家へ着いた時おじいちゃんが言いました。
「さあ、やってごらん」
男の子はさっき教えられたとおりプレゼントをその家にそっと落としました。
プレゼントはゆっくりと落下して屋根にぶつかることなくサンタクロースを待っている少女の枕もとにたどり着きました。
「Merry Christmas!」
男の子は眠っている少女に向かって言いました。

「さて、プレゼントも配り終えたし、そろそろ帰ろうか」
「うん」
男の子はおじいちゃんに向かって元気よく答えました。

おじいちゃんと男の子のソリはサンタクロースの街へ向かって走り出しました。

END

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